JetBrains IDEs でのデバッグ
この章では、JetBrains RustRover を使って Tauri アプリのコア・プロセス をデバッグする方法を説明します。この内容は 他の JetBrains IDE である IntelliJ と CLion にもほぼ当てはまります。
Cargo プロジェクトの設定
プロジェクトでどのフロントエンド・スタックを用いているかによって、プロジェクト・ディレクトリが「Cargo プロジェクト」になる場合と、そうでない場合に分かれます。デフォルトでは、Tauri は「Rust プロジェクト」を src-tauri
というサブディレクトリに配置します。Rust がフロントエンド開発にも使用されている場合にのみ、ルート・ディレクトリに「Cargo プロジェクト」が作成されます。
もしプロジェクト・ディレクトリの最上位に Cargo.toml
ファイルがないのであれば、Cargo プロジェクトを手作業で付加する必要があります。Cargo ツール・ウィンドウを開き(メインメニューで View | Tool Windows | Cargo を選択)、ツールバーの +(Attach Cargo Project)をクリックして、src-tauri/Cargo.toml
ファイルを選択してください。
あるいは、次のファイルをプロジェクトのルート・ディレクトリに追加することで、最上位の Cargo ワークスペースを手作業で作成することもできます:
[workspace]members = ["src-tauri"]
次に進む前に、プロジェクトが完全に読み込まれていることを確認してください。「Cargo ツール・ウィンドウ」にワークスペースのモジュールとターゲットがすべて表示されていれば、準備完了です。
実行構成の設定
次の二つの「Run 実行/Debug デバッグ」設定をそれぞれ行なう必要があります:
- ひとつは、デバッグ・モードで Tauri アプリを起動するためのもの
- もうひとつは、選択したフロントエンド開発サーバーを実行するためのもの、です。
Tauri アプリ
- メイン・メニューで、「Run | Edit Configurations」(実行 | 設定編集) に移動します。
- 「Run/Debug Configurations」(実行/デバッグ設定)ダイアログで:
- 新しい設定を作成するには、ツールバー(左端)の + をクリックし、Cargo を選択します。
設定ファイルが作成されたら、RustRover の設定を行ない、デフォルト機能なしでアプリをビルドするように Cargo に指示する必要があります。これにより、Tauri はディスクからデータ(アセット)を読み取るのではなく、あなたの指定する開発サーバーを使用するようになります。通常、このフラグは Tauri CLI によって渡されますが、ここでは Tauri CLI を全く利用していないので、手作業でフラグを渡す必要があります。
ここで、オプションで「実行/デバッグ設定」の名前をより覚えやすいものに変更できます。この例では「Run Tauri App」という名前を付けましたが、任意の名前を付けることができます。
開発サーバー
上記の設定では、Cargo を直接使用して Rust アプリケーションをビルドし、デバッガをアタッチしています。この設定では、Tauri CLI の使用が完全に回避されているので、beforeDevCommand
や beforeBuildCommand
などの機能は実行されません。開発サーバーは手作業で実行する必要があります。
そのための「Run/Debug Configuration」(実行/デバッグ設定)を作成するには、実際に使用中の開発サーバーを確認する必要があります。src-tauri/tauri.conf.json
ファイルを探し、次の行を見つけてください:
"beforeDevCommand": "pnpm dev"
パッケージ・マネージャーが npm
、pnpm
、または yarn
の場合、npm の「Run/Debug Configuration」設定ウィンドウを使用できます。次に例を示します:
Command(コマンド)、Scripts(スクリプト)、およびPackage Manager(パッケージ・マネージャー)の各フィールドに正しい値が入力されていることを確認してください。
開発サーバーが Rust ベースの WebAssembly フロントエンド・フレームワーク用の trunk
である場合は、汎用の Shell Script の「Run/Debug Configuration」(シェル・スクリプト実行/デバッグ設定)ウィンドウを使用できます。
デバッグ・セッションの開始
デバッグ・セッションを開始するには、まず開発サーバーを起動し、「Run Configurations Switcher」(実行設定スイッチャー)の横にあるデバッグボタンをクリックして、Tauriアプリのデバッグを開始する必要があります。RustRover は、あなたのプロジェクト内の Rust ファイルに設定されたブレークポイントを自動的に認識し、最初のブレークポイントに到達した時点で停止します。
このブレークポイントから、変数の値を調べ、コードをさらに詳しく調べ、実行時に何が起こっているかを詳しく確認できます。
【※ この日本語版は、「Jul 23, 2024 英語版」に基づいています】
© 2025 Tauri Contributors. CC-BY / MIT